Ⅱ. 交流分析 – 2.人生脚本分析 – ドライバー/ドライバーの開放
対抗禁止令:5つのドライバー
両親からの無言のメッセージに比べて、明確に言葉でメッセージされるものがあります。
①『完全であれ』
きちんとやりなさい
↓
完全主義で、自分はもちろん、他人にも完全を求める。評価が悪いときには焦り、気落ちする。
②『努力せよ』
一生懸命やりなさい、もっとしっかりやりなさい
↓
結果は二の次。何事も努力さえしていればよい。
③『人(親や世間)を喜ばせなさい』
皆のためにしっかりしなさい。お姉ちゃんなんだから妹の面倒をしっかりみなさいなど、他人を気遣う
↓
AC(自我状態)の高い人間を育てる
いつも他人の承諾が必要。拒否されるのが怖い。
④『急ぎなさい』
さっさとやりなさい、早くしなさい
↓
何かしていないと落ち着かない。慌てるため何事にも中途半端になりやすい。
⑤『強くあれ』
しっかりしなさい
↓
喜怒哀楽が出せず、何を考えているのか分からない。
以上の禁止令は、まだ合理的に物事を見ることのできない幼児が、自由でありありのままのFCの欲求を犠牲にして、環境に適応するために知恵をしぼって出した生き方の結論、親の顔色を見て生きて行く知恵といえます。この幼児期に、自分の決断に基づいて作られた脚本が自分を束縛するものであると気づいたら、より自由で創造的な生き方ができる脚本に書き換えることも可能なのです。
それにはまず、対抗禁止令(ドライバー)からあなたを解放してみましょう。
ドライバーの解放
(1) 『完全であれ』
常に完全でないといられないので、「適当でよい」「いい加減でよい」などの気持ちにもっていく。
(2) 『努力せよ』
まだダメ、まだダメという声がかかっているので、「これでいい」「最後までこのままでいい」という捉えかたをしていく。
(3) 『人(親や世間)を喜ばせなさい』
相手の言う通りになることを強要しているので、「自分の判断でやってよい」という許可を自分自身に与える。
(4) 『急ぎなさい』(さっさとやりなさい)
今すぐ急いですることを指示されているので、「ゆっくり、ゆっくり」と自分自身に声をかけ、のんびり生活するようにする。
(5) 『強くあれ』(しっかりしなさい)
感情の抑圧、冷静さを強調されているので、オープンになって感情を表してもいいという許可を与える。
脚本から解放されるためには、かつての親からの禁止令を脱出して「今、ここ」を生きようという再決断をする必要があります。
もし新しい生き方を求めるなら、まず、自分が一体どのような人生を送りたいのかを理解することから始めなければなりません。
わたしたちは幼い頃の忘れてしまっている決断にもとづいて、人生をいきる脚本をつくっています。
その脚本に従って演じて、その脚本通りに生きる可能性があります。多くの場合、その脚本はその人がその人らしく生きる可能性を妨げているものです。
この脚本の特徴や形成過程に気づくことで「今を」「ここで」の時点で、新しい決断をすることができるという希望を与えてくれるのが人生脚本です。
自分自身の本来持っている自分の能力を引き出す鍵が人生脚本分析にあります。
つまり、自分の本来の能力の妨げとなっているいろいろな要因を取り除くことで可性は広がるといえます。