アサーションとは、アサーティブな行動をとれるコミュニケーションをいいます。
アサーティブの行動の定義は、
「自分の感情・思考・行動および基本的人権を、必要以上に阻止することなく、 自己表現する行動である」 です。
理論的な背景は
交流分析(エリック・バーン) にあり、
哲学的前提は
「OKNESS」=「ありのままの自分でいい」
「人間は学習能力を持っている」
「自分の人生は自分で決めていく」
つまり、自分が主体、自分らしさを大切にするということでしょう。
歴史にふれると
1940年代アメリカ、アンドリュー・サルター。
神経症患者、ノイローゼの研究をする中、患者の問題行動の中心となっている不安 感情を弱めていくための行動に着目する。不安と拮抗する反応である興奮というもの を育てていけばよいと考え、興奮するための手法を開発する。興奮という行動を通し て、その人が自分の表現力を高めていくというプログラムを開発していった。
1960年代、ジョセフ・ウォルピがアンドリュー・サルターのプログラムに着目する。
神経症の治療に興奮させて表現力を育てていく行動療法を用いて試していった。
この時に「アサーション・トレーニング」と名づけられ行動療法の一技法として世間 に広まった。
1970年代、アメリカにおいて社会進出をはかる女性、地位が確立されていなかった人々が、自信を持って社会進出するための教育が必要だというニーズが出てくる。こういう中で、二人の心理学者(ロバート・E・アルベルティとマイケル・L・エモンズ)が治療技法ではなく、健常者を対象にし健常者がためらうことなく、自己表現をする能力を育てるという目標を達成するプログラムをつくっていった。
【中心となる考え方】
「基本的人権」
「人間は何人にも侵すことができない尊い価値と意義を持ってこの世にうまれてきている。これは人間に保障されているものであるものだから、これに目覚め、その権利を十分に活用していく必要がある」
「アサーション権」
1.自分自身である権利
2.自分自身であることを表現する権利
3.その表現したことに、罪悪感、無力感なしに満足する権利
アサーション権を自覚して実践していくことで、アサーティブ行動が育んでいく。
そして、M・J・スミスが、上述のアサーション権を、10の宣言文で表現したのです。
「アサーション権宣言」
1. 誰も、自分の行動・思考・感情は自分で決めることができて、しかも、自分が起こしているものである。だから、その結果が自分に及ぼす影響について責任を取ってよい。
2. 誰も、自分の行ないたいことは、理由を言ったり、言い訳をしたりしないで行なってもよい。
3. 誰も、他人の状況や問題を解決するために、もしも協力したいと考えればすればよいし、したくなければしなくてよい。
4. 誰も、一度言ったからそれを変えてはいけないということはない。自分の気持ちが変わったら変えてよい。
5. 誰も、間違いをしてもよい。そして、そのことに責任を取ってよい。
6. 誰も、「私は知りません」と言うことができる。
7. 誰も、他人の善意に応じる際に、自分独自の決断をしてよい。
8. 誰も、決断するにあたって論理的でなくてもよい。
9. 誰も、「分かりません」と言うことができる。
10. 誰も、「私には感心がありません」と言うことができる。
1980年代、論理療法の創始者アルバート・エリスがアサーティプ行動に影響を与える。
行動というレベルから、認知を変えるという包括的なものに変わっていく。
中心となる考え方
考え方を変えることで、アサーティブ行動を育てる。アサーティブな行動を取れない人は、固定概念、こだわりが考え方を邪魔して、アサーティブ行動の育成を停滞させている。アルベルティ&エモンズは、他の人を傷つけない限り、すべての人がアサーション権を持っていると言った。
(参考) 日本に見えるアサーション宣言
児童憲章12か条
1. すべての児童は、心身ともに、健やかに生れ、育てられ、その生活を保障される。
2. すべての児童は、家庭で正しい愛情と知識と技術をもって育てられ、家庭に恵まれない児童には、これにかわる環境が与えられる。
3. すべての児童は、適当な栄養と住居と被服が与えられ、また、疾病と災害からまもられる。
4. すべての児童は、個性と能力に応じて教育され、社会の一員としての責任を自主的に果たすように、みちびかれる。
5. すべての児童は、自然を愛し、科学と芸術を尊ぶように、みちびかれ、また、道徳的心情がつちかわれる。
6. すべての児童は、就学のみちを確保され、また、十分に整った教育の施設を用意される。
7. すべての児童は、職業指導を受ける機会が与えられる。
8. すべての児童は、その労働において、心身の発育が阻害されず、教育を受ける機会が阻害されず、教育を受ける機会が失われず、
また児童としての生活がさまたげられないように、十分に保護される。
9. すべての児童は、よい遊び場と文化財を用意され、わるい環境からまもられる。
10. すべての児童は、虐待、酷使、放任その他不当な取り扱いからまもられる。あやまちをおかした児童は、適切に保護指導される。
11. すべての児童は、身体が不自由な場合、または精神の機能が不十分な場合に、適切な治療と保護が与えられる。
12. すべての児童は、愛とまことによって結ばれ、よい国民として人類の平和と文化に貢献するように、みちびかれる。
この児童憲章とは、全ての児童の幸福をはかるために、児童の基本的人権を社会全体が自覚、確認し、その実現に努力する目的で作られた12か条の文章です。
1949(昭和24)年中央児童福祉審議会で制定しようという意見が出て、これをきっかけに直ちに児童憲章制定準備委員会が設立、1951(昭和26)年には、55名で構成された児童憲章草案準備会の手で草案が練られました。
この草案を、内閣総理大臣が国民各層から選んだ協議委員からなる児童憲章制定会議に提出し、その決議を得て、その年の5月5日、子どもの日に宣言されました。
ただし、法律として国会において制定されたものではありません。