Ⅱ. 交流分析 – 4.ゲーム分析
ゲーム分析とは
交流分析の創始者であるエリック・バーンは、こじれた人間関係やパターン化された対人トラブルを引き起こす自滅的なコミュニケーションのことを『ゲーム(game)』と定義した。
交流分析におけるゲームとは、相手を自分の都合の良いように操作したり利用しようとしたりすることで始まるコミュニケーションであり、その最後はドラマチック(感情的)だが紋切り型の不幸な結末となる。
ゲーム分析では幼少期から継続している『悪循環に陥った対人関係のパターン』を分析していくが、後味の悪い不快な感情を経験するゲームを繰り返すようになった原因には、幼少期の親からの ?ストローク剥奪(長期の孤立感・抑うつ感)が関係していることが多い。過去に激しい対立や喧嘩(言い争い)といったトラブルを起こした人は、同じような相手・状況で同種のトラブルを起こすことが多いが、この『パターン化した対人関係』にはゲームの仕掛けが影響しているのである。人間がゲームをする目的は何なのかという疑問があるが、これは過去のトラウマや自己否定的な認知によって『陽性のストローク』を受け取りにくくなっている人が、相手を悪循環のコミュニケーションに引き入れることで『陰性のストローク』を手に入れることにある。
エリック・バーンは、対人関係のトラブルや不快な感情体験が繰り返される『ゲームの交流パターン』は、以下のような公式に従って展開していくと考えた。
『仕掛け人+弱者(カモに見える者)→反応→入れ替え→混乱→結末』
仕掛け人によって、ゲームのカモ にされやすい人というのは、攻撃的な嫌味や挑発に反応しやすいCP(批判的な親)の強い人、苦しみや悩みに対して同情して助けてくれやすいNP(擁護的な親)の強い人、愛情不足によって拗ねたりいじけたりしやすいAC(従順な子ども)の強い人であるが、『エゴグラム』における自我状態のバランスが崩れている人がカモとして狙われやすい。